「自転車に乗りながらスマホ」がもたらす結末

「自転車ながらスマホ」はどうして危ないか?

2017年12月、神奈川県川崎市内で電動アシスト自転車に乗っていた当時20歳の女子大学生が、77歳の女性の歩行者と衝突する事故が起こりました。歩行者の女性は病院に搬送されましたが、結局亡くなってしまいました。

注目すべきことは、この女子大学生が「自転車に乗りながらスマホ」をしていたことです。

女子大学生は「重過失致死」の容疑で2018年2月に書類送検されました。送検された女子大学生は、電動アシスト自転車に乗る際に、スマートフォンを左手に持ち、飲み物を右手に持って、イヤホンを左耳にするというような状態でした。ポケットにスマートフォンを入れるために前方から目をそらした際に歩行者の女性と衝突したとのことでした。両手を使っている場合は、自転車のブレーキがかけられないので、衝突するような状況になっても停止できなかった可能性が大きくなります。

この女子大学生の自転車事故の場合は、重過失致死罪で女子大学生が起訴されましたが、罰則が記載されている刑法第211条においては、100万円以下の罰金または5年以下の禁錮あるいは懲役となっています。

昨今、自転車事故は社会問題になってきています。「自転車に乗りながらスマホ」などは非常に危ない行為ですが、このような危険行為を目にする場合も多くあります。また、自転車に乗って歩道を走ったり、道路を逆に走ったり、信号を無視したりするなど、一部の人が行っている違法運転も自転車事故に繋がっている場合があります。

スマホに集中すると視野は20分の1になる

安全に自転車に乗るためには、五感を使って運転に集中することが必要ですが、あるデータによれば五感としては87%を視覚、7%を聴覚、3.5%を触覚、1.5%を嗅覚、1%を味覚が占めるということです。このため、ほとんどを視覚情報が占めています。

実際に愛知工科大学の研究によれば、歩きスマホの場合は、視野が20分の1まで縮小するというデータがあるそうです。それにもかかわらず、自転車に乗っている際にもスマートフォンを見ている人をよく見かけます。

「自転車に乗りながらスマホ」は止まれない

先にご紹介した自転車事故の場合は、女子の大学生はスマホを左手に持ち、飲み物を右手に持っていました。警察の事情聴取に対して「衝突するまで歩行者に気がつかなかった」と述べているそうです。

しかし、基本的に、両手が使えなくなっており、歩行者に気がついた場合でも自転車のブレーキはかけられなかったでしょう。

道路交通法が2015年6月に改定されたことによって危険行為が14項目挙げられましたが、この女子大学生の場合は、危険行為の中の「安全運転義務違反」に該当します。

確実に運転するためには、当然のことですが、自転車に乗る時は何も手に持たないようにしましょう。また、自転車にスマホを固定する際でも、スマホを注視しないようにしましょう。このことは、自分を守るためにも必要です。

自転車の免許制

自転車は免許が無くても老若男女が気軽に乗れるため、規則や罰則があることさえも分かっていない人も多くいます。規則を周知させなければ、当然ですが自転車事故は起きてしまいます。

有識者の中には「自転車も免許制にするべきだ」というような意見がありますが、外国人の観光客などの場合はどのような扱いにするかなど、多くの課題があり実現はしていません。

自転車の運転が悪質な場合は講習制度も

「安全運転義務違反」などのように自転車の運転が危険で悪質な場合については、講習制度が実施されています。この講習制度の場合は、交通規則の試験や被害者の経験談など、約3時間の座学による講習が行われます。

「自転車に乗りながらスマホ」は危ない

では、自転車ながらのスマホはどの程度危ないのでしょうか?

自転車ながらスマホの危険性について、KDDI、au損害保険による実証実験が行われ、実験は愛知工科大学の特任教授の監修において、関西学生連盟の協力のもと実施されました。

11人の被験者の大学生が視線計測装置を着けて、スマホの画面を見ながら自転車に乗った際どの程度危ないか検証し、実証実験では次のような結果が得られたそうです。

歩行者を見逃す回数は、普通の場合は1.3回ですが、自転車ながらスマホの場合は2.0回になり、約5割上昇しました。

また、歩行者が分かるまでの時間は、普通の場合は1.0秒ですが、自転車ながらスマホの場合は遅れて1.7秒になりました。